金色ラブリッチェ
すっかり月一更新が板についてきまして。
書きたいものはあるんですが、書くならある程度やり直したり画像を拾いに行ったりしたいもので、かといって積みゲーの山も崩したいとも思っているわけです。
そんな中、とりあえずようやく金恋をクリアしたので、予告通り感想をつらつら。
◎要素
『学園』『貴族』『ラブコメ』『微シリアス』
少ないようですが、王道ラブコメって感じで、改めて考えると言うほどピックアップする部分もないような。じゃあ薄っぺらい話なのかと言うとそんなことはなくて、話の作りはやたらと凝ってました。何気にサガプラの作品初めてやったんですけど全作こんな感じなんですかね?
とりあえず次ははつゆきさくらとか買ってみたいです。
貴族ものと言うと前につり乙を紹介しましたが、グランドエンド以外はこっちの方が話が軽いし読みやすいです。詳しくはメタ的な話で語ろうと思います。
◎キャラクター
・シルヴィア
お転婆タイプのお嬢様。護衛の騎士たちの目を盗んで抜け出しては主人公とお茶会をしたり、仕事をキャンセルしては遊びに行こうとするお茶目さが魅力的な娘です。
一方で音楽の才能に秀でている部分もあり、ピアノでは同年代で10本の指に入るレベルの実力だとか。作中では何度かその実力を披露します。
個人ルートでは主に主人公の抱える問題に彼女が首を突っ込んでくる形になります。まぁシルヴィ側の問題なんて国家ぐるみになるだろうから妥当なところ。
個人的にはその子の√ではその子自身を掘り下げて欲しいのでエルさんルートの方が終わり方的には好きなんですけど、まぁこれはこれで無難だったかなという感じ。それにしても、ソルティレージュのお姫様は恋愛結婚できるらしいです。それが日本に来てるなんて。貞操を捨ててるとしか思えないね。
個人的な話ですが、ほんたにかなえさんの絵柄のぱっつん髪の子いいですよねぇ。ラノベなんかでもしょっちゅう見ますし。判子絵大好き。
・妃玲奈
お嬢様学校なのに主人公と同じく庶民で、転校してきた主人公よりも先にこの学園にいたことから、同級生ながら先輩とも言える存在。ギャルというか陽の側の人間で、場の空気を読むのが上手かったり、自分の立ち位置を重要視したりするところがあります。
服飾に関して熱心なところがあり、集中しているうちは、普段気を使っている容姿すら頓着しないほど。こういう娘いいよね~~~。
お話的には、玲奈とは普通に恋愛するだけで、壁を乗り越えたりとか、彼女の過去をほじくり返すとかそういうのはありませんでした。シルヴィの時もそんな感じで割と新鮮でしたが、シナリオ重いのが好きなのであんまり心には残りそうにないです。既に膝枕とパイズリ用スク水しか残ってない。ビジュアルは一番好き。
あとグランドルートの玲奈、謎に主人公への好感度高い気がしてます。良くも悪くも。
・エルさん
若くしてシルヴィアを護衛する騎士団の団長を務めている女の子。真面目に護衛業をこなす傍らでフェンシングの技術も世界レベル、学園にも通い勉強もできるという超人ぶり。絶対ショートスリーパー。
金髪だしルートあんのかな?と思ってたら普通にありました。この人のスケジュールに恋愛を足してたら数時間の睡眠時間すら消えてしまう。
つり乙の時もちょっと書きましたけど、お嬢様以外と深い関係になるのってどうなんだろう、今回は従者が同性だから主従恋愛という形はないけど微妙なんじゃ……と思ってたらその話も出てきてぼく的には大満足。サブヒロインとはいえ、エルさん√が1番恋人自身の人生に触れたんじゃないかと。そういう意味で、個人ルート4人の中で最も好きなお話でした。
・栗生茜
上記3人のうち1人を攻略すると出てくるおまけヒロイン枠。ルート選択でこの子の枠だけが最初シークレットになっていて、最初は「絶対理亜だろ」って思ってたら茜ちんでした。元気系後輩で陸上部。ファイヤーでバーニングな今時だと珍しめな性格で、はじめは女生徒から風当たり強めな主人公に対しても好意的に接してくれる良心。(ヒロインでリョナるならこの子がいい)
彼女の性格通り、ルート通して茜ちんの心の火種を管理してくゲーム。別にプレイヤー側がやることはないですけど。茜ちん側からのラブはルート開始のストップ高から一切動かないので、脳を使わずにしゅきしゅきされたい時にやったらいいと思います。まぁこの子は他ルートでも主人公のこと好きっぽいので、後回しにしたらくどいかも知れませんが……
茜ちんルートも彼女の心理に触れる部分が大きく好きな部類でした。サブヒロインだから短めなのだけが残念なところ。
・理亜
全員を攻略後にタイトル画面に現れる「GoldenTime」から行ける、このゲームのグランドルート。各ルートで少しずつ散りばめられた、主人公、理亜、シルヴィなどの幼少期が鮮明に語られ、物語の全貌が明らかになります。
理亜自身は、金髪でタバコを吸い立ち入り禁止の屋上にもずけずけと入っていく不良生徒。そのくせに小柄で、やけに賢しく哲学的、自分の芯となる考え方や価値観を持った変わった子です。
まさか個人ルートないのかと思ったらとんでもないものが待ってました。イメージ的にはアマツツミのほたるみたいな。本編では微妙にヒロインじゃないっぽい立ち位置でものを語るところとか、出番が限定されてるところとか。
彼女については何を話してもネタバレになりそうなので、1度締めた後に既プレイの人向けに語りたいことを書きたいと思います。
◎メタ的な話
・伏線
なんと言っても話の作り込みがすごいです。まず。伏線管理が完璧で、ほぼ全て回収したんじゃないでしょうか?あとから思い出すと、わかりやすく回想してくれるものから、「あれも伏線かよ!」って思うものがいくつもありました。そして、それをプレイヤー側に気付かせるのがとても上手いんですよね。この手法が一番貢献している部分として、プレイヤーを物語に引き込んでいるところがあげられます。ただ読ませるだけではなく思考させることで、より臨場感を感じさせています。謎解き系じゃないエロゲだと、ここまで伏線を上手く扱っている作品はけっこう珍しいような気がしますね。
・総括
この物語は、なんだかんだ言って全ルートに共通した大きなテーマがひとつあって、それは「主人公の成長」です。
どのルートでもED後には主人公のその後が描かれるわけですが、例えばヒロインと結婚したあとの生活だったり、彼が将来の夢としたものに取り組んでいる姿だったりが描写されています。エルさん、茜ちゃんルートではヒロイン自身の葛藤がメインで描かれるため気づきにくいところですが、シルヴィや玲奈ルートでは顕著に表れています。どのルートでも違った未来が展開されていて、まさにこれは主人公が成長するためのボーイミーツガールだったんだなぁと思わされるわけです。
◎おわりに
ぼくはこのゲームがサガプラ処女だったんですが、もう満足しすぎてほかのシリーズまで手を出したくなっています。積みゲーが沢山あるので消えてから買いますけど。人を選ばないシナリオと高い完成度でまとまっているこの作品は、今後初心者エロゲーマーにもオススメされていくんじゃないでしょうか。
今月中にもう1本くらいクリアして感想を書きたいと思っている(厳しい)ので、よかったらまた読んでください。
ここまで読んで頂きありがとうございます。こここからは理亜ルートのネタバレを大いに含みますので、既プレイの方、ネタバレを気にしない方のみ読んでください。
◎このエロゲが好きな人にオススメのエロゲ
・アマツツミ
・(ほかのサガプラのやって面白かったら教えて)
◎グランドルートについて
理亜、死にましたね。
ED前まではそれなりに長い時間を主人公と過ごして、子供は出来なくても結婚して、それからゆっくりと死んでいくものだと思っていたんですが、予想よりもずっと早く亡くなりました。ED後のダイジェストで理亜の声に力がなくなっていくのを聞いているのが本当に辛かった。
理亜的には、主人公には形あるものは指輪しか残せなかったけれど、主人公を大きく成長させ、シルヴィを主人公から離れられなくしたという結果を与えられて満足だったのではないかと思います。
さて、何故作者は理亜を殺したんでしょうか。ぼくは2つ理由があると思っていて、ひとつは主人公が成長した姿を物語の中で見せたかったから。
葬式後、主人公は玲奈の腕の中で泣いてしまうんですけど、それまで(葬式中)は我慢していたという描写があります。これは付き合う時の理亜の「オレの前ではカッコつけていて」というセリフによるものであり、彼女の生前、主人公は理亜の前ではカッコイイ彼氏でいようと努力します。
その結果というか、彼女が死んだ後、いなくなった後でも、主人公は理亜に対してカッコ悪い所を見せずに葬式を終えることが出来ました。
2つ目は理亜という存在をプレイヤーに刻み付けるため。シルヴィ、主人公、理亜は三角関係だった過去があり、現在は二人とも主人公が好きで、主人公は理亜が好き。丸く収めるにはシルヴィが消えるのが良さそうです。シルヴィはノーブル学園を卒業すれば国に帰るでしょうから、それより前に死んだのは、はじめから2人を結婚させたかった理亜としては僥倖と言えるかもしれません。しかし、理亜の気持ちを知っている主人公、シルヴィ、そしてプレイヤーからしてみれば後味の悪い話であり、彼女の存在は長く心に残り続けるでしょう。創作する側の話になりますが、自分の語った話が長く人の心に残るってのはひとつの目的です。メタい話ですがそういう側面もあったのではないかと。
以上が理亜の死に関するぼくの考察です。本当はもう少し感じたことがあったはずなんだけど、プレイ中にメモとろうとしたら吹き飛びました。思い出したら追記します。